【看護師解説】出生前診断はいつから?費用は?種類と違いを一覧にまとめました

出生前診断

今回は、厚生労働省や関連学会のデータを元に、小児科看護師の視点で「これだけ知っておけば大丈夫」という情報を整理しました。


まず知っておきたい「2つの大きな違い」

検査には大きく分けて「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があります。

  1. 非確定的検査(スクリーニング)
    • 「赤ちゃんに病気がある可能性がどれくらい高いか」を調べる検査。
    • メリット: お母さんの採血やエコーで済むので、流産のリスクがない。
    • デメリット: 「陽性」でも確定ではない。確率はわかるが、白黒はっきりしない。

  2. 確定的検査(診断)
    • 「病気があるかないか」をはっきりさせる検査。
    • メリット: ほぼ100%の結果がわかる(診断がつく)。
    • デメリット: お腹に針を刺すため、わずかですが流産・破水のリスクがある。
      (例:羊水検査、絨毛検査)

出典・参考


【一覧】出生前診断の種類・費用・時期まとめ

主要な4つの検査を比較表にしました。
※費用は自費診療(保険適用外)のため、施設によって異なります

NIPT(新型出生前診断)

今、最も多くの方が検討される検査です。

  • 【分類】 非確定(スクリーニング)
  • 【時期】 妊娠10週〜
  • 【費用】 10〜20万円前後
  • 【流産リスク】 なし(採血のみ)

どんな検査?
お母さんの血液から赤ちゃんのDNAを調べます。
感度(精度)が非常に高いのが特徴で、陰性の場合は99.9%の確率で大丈夫だと言われています。ただし、あくまで「非確定」検査なので、陽性の場合は羊水検査が必要です。

💡 ナースパパのひとこと
「高いお金を払ってでも、母体にリスクなく、できるだけ正確な結果が知りたい」という方が選ばれています。
早い週数(10週〜)でわかるのもメリットですが、費用が高額なので、僕たち夫婦も一番悩んだのがこの検査でした。


クアトロテスト(母体血清マーカー)

昔からある一般的な血液検査です。

  • 【分類】 非確定(スクリーニング)
  • 【時期】 妊娠15週〜17週頃
  • 【費用】 1〜3万円前後
  • 【流産リスク】 なし(採血のみ)

どんな検査?
血液中のホルモン値とお母さんの年齢などを掛け合わせて「確率」を出します(例:1/500など)。
NIPTより安価ですが、精度はやや劣ります。また「年齢が高いほど陽性(高確率)が出やすい」という特徴があります。

💡 ナースパパのひとこと
手頃な価格で受けられますが、結果が「1/300」のような確率で返ってくる点に注意です。
「この数字をどう受け止めるか?」で逆に迷ってしまい、結局羊水検査に進む方もいます。「確率だけで安心できるか?」を夫婦で話し合っておく必要がありますね。


超音波検査(胎児ドック)

精密なエコーで赤ちゃんの見た目をチェックします。

  • 【分類】 非確定(スクリーニング)
  • 【時期】 妊娠11週〜13週頃(初期ドック)
  • 【費用】 1〜5万円前後
  • 【流産リスク】 なし

どんな検査?
首の後ろのむくみ(NT)や鼻骨の形成などを専門医が確認します。
採血などのデータだけでなく、実際に赤ちゃんの姿を見て判断できるのがメリットです。

💡 ナースパパのひとこと
小児科ナースとしては、「染色体以外の体の形(心臓や手足など)」も見てもらえるのが最大のメリットだと思います。
採血の結果だけでなく、実際に動いている赤ちゃんの姿を見ながら説明を受けられるので、実感もわきやすいですよ。


羊水検査

最終的な診断をつけるための検査です。

  • 【分類】 確定的検査(診断)
  • 【時期】 妊娠15週〜18週頃
  • 【費用】 10〜20万円前後
  • 【流産リスク】 あり(約0.3%)

どんな検査?
お腹に細い針を刺して羊水を採取し、赤ちゃんの細胞(染色体)を直接調べます。
ほぼ100%の結果がわかりますが、破水や出血などにより、約300人に1人程度の割合で流産につながるリスクがあります。

💡 ナースパパのひとこと
唯一「確定診断」ができる検査ですが、やはり「針を刺す」というリスクは怖いです。
いきなりこれを受ける人は少なく、**NIPTなどで陽性だった場合の「最終確認」**として受けるのが一般的です。これを受ける時は、ご夫婦で相当な覚悟を決めた時だと思います。

表のデータの出典


それぞれの検査の詳しい解説

NIPT(新型出生前診断)

  • 正式名称: 非侵襲性出生前遺伝学的検査
  • どんな検査?
    お母さんの腕から採血するだけで、血液中に混ざっている赤ちゃんのDNAのかけらを調べます。
  • わかること
    主に「13トリソミー」「18トリソミー」「21トリソミー(ダウン症候群)」の3つの可能性が高いかどうかがわかります。
  • 注意点
    陰性の的中率は99.9%と言われていますが、あくまで「非確定」です。陽性の場合は、羊水検査で確定させる必要があります。

クアトロテスト(母体血清マーカー)

  • どんな検査?
    採血で血液中の4つの成分を調べ、お母さんの年齢などを加味して確率を出します。
  • 特徴
    NIPTより安価ですが、精度はNIPTより劣ります。「年齢が高いと確率が高く出やすい」という特徴があります。

羊水検査

  • どんな検査?
    エコーで見ながらお腹に細い針を刺し、羊水をとって細胞を調べます。最終的な診断をつけるための検査です。
  • リスクについて
    一般的に**「約300人に1人(0.3%)」**の割合で流産等のリスクがあると言われています。
    ※ただし、最近の研究では手技の向上により0.1%〜0.2%程度という報告もあり、施設によって実績は異なります。

どこで受けられるの?(認可と無認可の違い)

特にNIPTを受ける場合、病院には「認証施設(認可)」と「非認証施設(無認可)」の2種類があります。

  • 認証施設(認可)
    • 日本医学会などが認定した施設(大学病院など)。
    • 特徴: 専門家によるしっかりとした遺伝カウンセリングが受けられます。
    • 条件: 以前は年齢制限(35歳以上)がありましたが、2022年以降の新制度では年齢制限は撤廃され、誰でも相談できるようになっています。

  • 非認証施設(無認可)
    • 美容外科や皮膚科などが独自に行っているクリニック。
    • 注意点: 遺伝カウンセリングがない場合が多く、もし「陽性」が出た時に相談先がなく困ってしまうケース(検査難民)が問題視されています。

💡ナースパパのアドバイス:
僕は、もし受けるなら**「認証施設」**を強くおすすめします。「陽性です」という結果だけを渡されるのと、専門家と「その意味」を話し合えるのとでは、受け止め方が全く違うからです。

施設を探すための公式サイト


最後に:受ける前にパートナーと話してほしいこと

ここまで、検査の種類や数字について客観的なデータを解説してきました。


でも、一番大切なのは「確率」や「金額」ではなく「その結果を夫婦でどう受け止めるか」だと思います。

実は、僕たち夫婦は悩み抜いた末、
「出生前診断を受けない」という決断をしました。

小児科ICUで働く僕は、病気の厳しさや現実を誰よりも知っています。だからこそ、最初は「知っておきたい」「怖い」という気持ちでいっぱいでした。

けれど、エコーで懸命に動いている子どもを見たとき、「この子に会いたい」という気持ちが勝ってしまったんです。

「陰性=100%の安心」ではない。
それなら、どんな子が生まれてきても受け止めよう。
未来を「予測」するのではなく、「覚悟」することを選びました。

もちろん、これはあくまで僕たち夫婦の正解であって、誰にでも当てはまるものではありません。


情報を得て準備するために「受ける」ことも、不確実性を受け入れて「受けない」ことも、どちらも「親としての立派な愛情」です。

どうか、焦らずにお二人でたくさん話をしてみてください。
その時間が、これから親になるお二人の絆を強くしてくれるはずです。


▼ 僕たち夫婦の葛藤と決断の記録はこちら

もし、「医療者である僕がなぜ受けない決断をしたのか」「夫婦でどんな会話をしたのか」というリアルな実体験に興味がある方は、こちらの記事も読んでみてください。


📚 記事で使用した参考文献・出典

この記事は、以下の公的機関・学会の情報を元に作成しています。

  1. こども家庭庁妊娠中の検査に関する情報サイト
  2. 日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会[7][8][19]
  3. 国立成育医療研究センター出生前検査の種類と特徴[2]
  4. 厚生労働省NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書[2]
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